お墓の継承者がいない、お墓がある場所から遠方に住んでいるため、管理が大変という理由から墓じまいをする方が増えています。しかし、無縁墓にならないようにと墓じまいをするつもりが、思わぬトラブルに発展してしまうことが多々あるようです。今回は墓じまいにおけるトラブル事例について紹介します。
墓じまいのトラブル事例1:菩提寺から離檀料を請求される
墓じまいをしたい旨を菩提寺の僧侶に伝えたところ、数百万円に及ぶような離檀料を請求されるというケースが一部のお寺では実際に起こっています。これは、これまでお寺は檀家からの寄付金やお布施は収入源として経営してきたのに対し、昨今の少子化や地域の過疎化によって檀家制度そのものが衰退し続けており、お寺の経営が危機に立たされていることが影響しています。
しかし、そもそも「離檀料」とは昔から存在していた仏教用語ではなく、近年墓じまいや改葬の件数が増え続けていることからメディアによって作られた造語です。また、檀家になる際「離檀する場合は離檀料として○○円支払う」というような契約をしていない限り、必ず支払わなければいけないといった義務もありません。また本来は、これまで先祖供養を担ってくれてことに対して「お世話になりました」という感謝の気持ちを込めて包むお金であり、布施の心をもって支払うべきものになります。離檀料を請求すること自体しないというお寺が多いようですが、過疎化が進む地方地域では檀家離れが深刻となっており、こうしたトラブルが発生してしまっていることも事実です。
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トラブルにならないためには?
墓じまいの相談を、事前に少しずつしておくことが大切です。僧侶も1人の人間ですので、ある日突然やって来て、墓じまいをしたいので埋蔵証明書が欲しい、改葬許可申請書に記入して欲しいと事務的にことを進めようとしたら不義理な印象を与えかねません。また、墓地の管理費を何年も滞納しているなどがある場合は、墓じまいをする際に一緒に請求されることがあるため、心当たりがある際は準備をしておきましょう。
しかし、明らかに高額な離檀料を請求されてしまった場合には、行政書士や弁護士に相談するとよいでしょう。
墓じまいでよくあるトラブル事例2:石材店とのトラブル
お墓の土地は使用する権利を買っているだけになり、土地そのものを購入していることにはなっていません。そのため墓じまいをする際は、墓石の解体・撤去を行い、墓地を更地にして返還しなくてはなりません。通常これらの工事は石材店に依頼をするのですが、その際に、墓地が提携している石材店でないと工事を受け付けていない、また予想外に高額な費用を請求されてしまったということもあるそうです。
お墓の撤去・整地は1㎡あたり10~20万円が相場です。ただし、お墓が山の中にある、トラックを駐車できないような狭い場所にあるといった場合は、撤去をするための機械を入れるスペースがなく手作業になることがあり、作業代が上乗せされる可能性があります。また、連結墓地といって隣合わせの墓域とコンクリート土台をつなげ、その上に複数の墓石を建てるお墓があります。兄弟で隣同士にお墓を建てる時などに使われる技法なのですが、連結墓地の中のどちらか1つだけを墓じまいする場合にも費用は高くなる傾向にあります。
トラブルにならないためには?
必ず現地確認をしてもらい、事前に費用見積もりをもらいましょう。現地確認あるいは写真や区画の図面などを見ずに見積りを発行する石材店は、あまりおすすめできません。また可能であれば、複数の石材店に見積もりを依頼すると比較検討ができるので安心です。
墓じまいでよくあるトラブル事例3:親族間の合意・費用負担
お墓の継承者だけで墓じまいすることを決めてしまった場合、墓じまいをした後に、親族とトラブルに発展してしまうケースが目立っているようです。例え自分はそのお墓に入らずとも、先祖や両親のお墓であることは変わりないため、相談なしで墓じまいをされてしまった際は親族といえど信頼関係を壊しかねません。
また、墓じまいの費用負担をめぐってのトラブルもあるようです。墓じまいに必要な費用は決して簡単に払える金額ではありません。前述したように、墓じまいをする際は支払う場合は離檀料、墓地を整地にするための費用の他に、そもそも墓石を解体するまえに行う閉眼供養や遺骨を取り出した後も、遺骨の洗骨をしなくてはならず、費用がかさみます。自分達の先祖・両親のお墓であるため、親族間での費用負担は当然と考えても、拒まれてしまうこともあるようです。親族間での墓じまいの合意がなかった場合は尚更であるため、墓じまいをする際はまず賛成を得ることから始めた方が賢明です。
トラブルにならないためには?
事前に親族全員と相談し、墓じまいの合意を得ることが大切です。特に年配相手に墓じまいのことを相談する際は、先祖に対して失礼だとして納得してくれないこともあります。しかし、お墓の管理は、任されていないと分からないような負担が生じているものです。また、いつか墓地の継承者がいなくなり無縁墓になってしまうのであれば、自分の代で区切りを付け、先祖の遺骨をないがしろにしない墓じまいを選択することも立派な先祖供養となります。なぜ墓じまいをしたい考えに至ったのかを丁寧に伝え、費用についても負担してほしい旨を伝えるとよいでしょう。
墓じまいのトラブルまとめ
墓じまいはトラブルが多いと思われがちですが、ほとんどの場合、きちんと家族と話し合い、寺側とも話し合えば回避できます。特に、「寺から高額な離檀料を請求された」というといったトラブルは、地方の一部の地域でしか確認されていなようです。また、前述したように墓じまいをすることは無縁墓を回避するための手段の一つであり、ある意味先祖供養をしていることとも言えます。時間とお金はかかりますが、トラブルに発展しないよう順序立てて墓じまいを行うと良いのではないでしょうか。
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