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納骨堂コラム【納骨堂辞典】

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檀家を持つお寺と持たないお寺の違い

有名寺院にお参りしたときなど、「そういえば、このお寺は檀家を持ってるの?」と疑問に思ったことはありませんか。お寺には、檀家を持つお寺と、持たないお寺があります。それぞれの違いを解説します。


檀家を持つお寺と持たないお寺がある

私たちが「お世話になっているお寺はどこ?」と聞いて思い浮かべるとしたら、先祖代々のお墓を管理してくれているお寺ではないでしょうか。お墓を管理してくれて、葬儀や法事のときにはお経をあげてくれるお寺のことを「菩提寺」といいます。そして、菩提寺のお世話になっている家を「檀家」といいます。全てのお寺が檀家を持っているかというと、決してそうではありません。檀家を持たないお寺も存在するのです。檀家を持つお寺と持たないお寺の違いは、祈りを捧げる対象の違いにあります。単純に表現すれば、檀家を持つお寺は、どちらかといえばあの世のほうを向いています。檀家を持たないお寺は、この世に生きる人のためにあります。どういうことか、それぞれ詳しく説明しましょう。

 

檀家を持つお寺は死者を供養する「回向寺」(えこうでら)

檀家を持つお寺は、墓地を運営することや法事を営むことで収入を得ています。檀家から、お布施やお墓の年間使用料を受けることで財政が成り立っているのです。檀家を持つお寺は、死者を供養することを主とするお寺であることから、「読経などを行い死者の冥福を祈る」という意味の「回向」(えこう)を使い、「回向寺」と呼ばれます。回向寺は、あの世を説き、檀家の先祖の霊と遺骨を守ることが一番の役割とされます。よって、どちらかといえばあの世のほうを向いているお寺だということができるでしょう。回向寺が死者のために供養を行ってくれることで、私たちは慰められるのです。「大切な家族だった人を、丁寧に供養してくれている」ということが、回向寺の価値をつくっているといっていいでしょう。

 

檀家を持たないお寺は現世利益を願う「祈祷寺」(きとうでら)

一方で、檀家を持たないお寺は、墓地も持っていません。葬儀や法事を営むこともありません。それではどうやって収入を得るのかといえば、拝観料や祈祷料などを財源にしています。歴史的に価値の高い有名寺院であれば、たくさんの観光客がやってくるため、拝観料だけでも結構な収入になります。また、お札やお守りを販売したり、「商売繁盛」「恋愛成就」「交通安全」といった現世利益をうたい、祈祷を行って収入を得ています。このことから、檀家を持たないお寺は「祈祷寺」と呼ばれています。祈祷寺は、この世に生きる私たちの現世利益を祈るお寺といえるでしょう。はるか昔に国家が建立した寺院のなかには、個人の幸せというよりも、国家平安を祈る役目を担っているところもあります。参拝客からの拝観料やお布施だけで寺院を維持していくのは大変ですが、重要文化財などに指定されていれば修繕の際には補助金が出ることになるため、古くからの有名寺院であるほど財政基盤はしっかりしている傾向があります。また、本山となっているお寺は、末寺から上納金を受け取ったり、新しく僧侶となる人の修行先となったりしてお寺を運営しています。

 

回向寺の檀家は最近減ってきている

回向寺は檀家を持つお寺ではありますが、最近の仏教離れにより、檀家が減少する傾向がみられます。とくに地方では、日本人のライフスタイルが変化したことから「子どもらがみな都市部で家庭を持ったため、墓を守る人がいなくなった」などという理由で檀家を離れる人が少なくありません。祈祷寺のように、拝観料や祈祷料などといった財政基盤が確立していない回向寺は、檀家がいなくなってしまえば困窮します。げんに、複数のお寺を兼務して檀家数を確保するケースや、廃寺となるケースも徐々に増えてきているといます。これからは、回向寺がどう生き残っていくかが問われてくる時代になるでしょう。

 

まとめ

檀家を持つお寺は、死者を供養し、檀家からお布施されることでお寺を維持しています。一方で、檀家を持たないお寺は、この世に生きる人々の現世利益を祈願し、拝観料や祈祷料を得ることでお寺を維持しています。私たちがお盆にお参りに行くようなお寺と、観光で訪れるようなお寺とがはっきり分かれているのは、このような財政基盤の違いがあるためです。あの世にいるとされる大切な故人を想い、この世での自分たちの幸せを願う私たちにとって、どちらも大切なお寺であるといえるのではないでしょうか。

関連記事:檀家になるとは?現代でお寺の檀家になることのメリットとデメリット

 

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