「宗旨宗派不問」はどんな宗教でもOKではない?
永代供養墓など新規に墓地探しを始めると看板やチラシ、パンフレットに必ずといっていいほど「宗旨・宗派不問」という言葉を目にしませんか?この意味を、「どんな宗教宗派であっても受け入れてくれるんだ!」と購入者側は思いがちですが、その誘い文句には少し落とし穴があります。特に寺院墓地の場合には注意が必要です。では、どんなことに気をつければよいのでしょうか。「宗旨・宗派不問」の注意点について紹介します。
納骨堂辞典 > 納骨堂コラム > 文化・歴史 > 納骨堂はお墓不足解消の切り札?首都圏で納骨堂の普及が進む背景
納骨堂が普及する背景のひとつに首都圏でのお墓不足が挙げられます。東京では人口の集中と高齢化に伴い特にお墓不足の事態が深刻化していますが、増え続ける需要に反して供給が進んでいない状況です。ここでは、お墓不足となってしまった原因を探り、その解決策として納骨堂が増えてきている理由について考えていきます。
首都圏の墓地不足は年々深刻化しています。理由は、高齢化による死者数の増加でお墓の需要が増え続けていることに対して墓地の新設が停滞していることが考えられます。都内から生じる墓所の需要は、現在年間約2万基程度と推定されていますが、20年後には約3万基程度になると見込まれています。しかしながら墓地情報誌などを手がかりに現在供給されている墓所数を試算すると、東京都内で供給されている墓所は年間6千基程度と推計されており、需要に対して供給量が少なすぎるというのが実態です。参考文献:『都立霊園における新たな墓所の供給と管理について』平成20年2月19日東京都公園審議会
なぜ墓地を新しく作ることができないのかというと、墓地を作るために必要な土地が東京で不足していること、また東京オリンピック開催決定となったことで土地代の高騰などが挙げられます。
首都圏、主に東京でのお墓の需要と供給のバランスが崩れているのはなぜなのでしょうか。その原因を探ってみましょう。
まず、首都圏への人口の集中が考えられます。全国に占める首都圏人口の割合は、1950年には15.5%、1960年に18.9%でしたが、1970年には23.0%にまで跳ね上がり、その後上昇のスピードは徐々に鈍化したものの、1980年には24.5%、1990年には25.7%、2000年には26.3%、2010年には27.8%にまで上昇しており、地方から首都圏を含む都市圏への著しい人口の流入により、全国的に見て都市圏に人口が集中し、人口の偏在が顕著となっているのです。このため、都心部でお墓を建立したいと考える人も増加しそれに見合う供給が間に合っていないという状況が生じました。
都心部の人口増加に加え、その人口比率の中でも高齢者の割合が増加していることもお墓不足の原因の一つと考えられます。平成28年9月15日現在の東京都の高齢者(65歳以上)人口は301万2千人となり、初めて300万人を超えました。この年代の他府県への転出数が約2万人に対し、転入数は1.5万人ほどなので、その差はわずか5000人ほどのみとなり、東京での高齢世代の定住志向は高いと言えます。したがって、首都圏では今後、墓地需要の継続的な増加が見込まれています。
参考文献:統計局ホームページ/平成28年/統計トピックスNo.97 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-
参考文献:住民基本台帳人口移動報告|総務省統計局
東京では今後も需要増加が見込まれる墓地ですが、墓地の普及はなかな進んでいません。それは、都内に墓地を新設できない理由があるからです。
墓地の経営母体に求められる基準が厳しく、墓地を新設できるのは原則として宗教法人、公益法人等に限られています。そのため民間業者などの新規参入は難しく、供給不足の遅れが発生しています。また、墓地の立地にも厳しい条件が強いられており、河川や海等からは約20メートル以上離れていること、住宅や学校、病院、店舗等からは100メートル以上の距離があるなど制限が設けられています。そのため、購入者の交通至便な所に墓地建設したくても、ニーズに応えられるような墓地の新設は難しいのが現状です。
墓地や火葬場を建てるとなると近隣の住民に理解を得ることは難しいのが現実です。これは人口過密な東京にとっては切実な問題です。
墓地の経営主体は主に寺院が担っていますが、時代の流れとともに檀家制度が成り立たなくなり、経営が厳しくなってきているようです。そのため墓地の新設をする資格がある寺院でも、なかなか墓地新設への投資ができないという状況に陥っているようです。
関連記事:檀家とは?求められることや檀家制度の歴史
上記のように需要に応えた墓地の新設が難しい状況にあることが窺い知れます。
前述したように一般的な屋外で石碑を墓標とする墓地の新設はむずかしい状況ですが、墓所不足を解決する手立てとして都内では納骨堂が建設され、増加してきています。納骨堂は、全国的に見ると昭和30年代から増加し、近年では約12,000箇所で横ばい状態でありますが、首都圏に限ってみると増えてきています。東京での推移を見ると平成8年度は238施設であったのに対し、平成27年度には397施設と大きく増加しています。その理由として、以下が考えられます。
墓地の新設には河川や海からの距離、住宅や店舗等からの距離の制限がありますが、納骨堂においてはこの制限は特に設けられていません。そのため住宅などの近くに新設することができ、また外観もビル型なため一見すると墓地と判断しづらく苦情も出にくいようです。
これまで納骨堂は一時的な遺骨の仮置き場として認知されてきていましたが、最近ではお墓として参拝しやすいように考慮された施設が増えてきています。そのため納骨堂への抵抗がある方が減り、最近では都心の立地の良い所に建てられていることから人気も得られるようになっています。
核家族化で家族の単位が小さくなり、それに伴い現代の高齢者が欲しいお墓のスタイルも変化してきています。先祖代々の墓へのこだわりが薄れ、小さくてもいいから個別に参拝できるお墓を自宅から近い距離に欲しいと考える人が増えたことが納骨堂への関心を招いているものと思われます。東京都で行われたお墓のアンケートで、お墓を持つ場合に重視する条件について聞いたところ、「お墓の費用(墓石を含めて)」(76%)、「維持管理の経費」(67%)、「お墓へのアクセス」(62%)が6割を超える結果も出ています。地価が高い東京でお墓へのアクセスが近いところを探すと、納骨堂という選択肢にならざるを得ない実態がうかがえます。
経営の弱体化が憂慮される寺院ではありますが、納骨堂は購入時価格に加え、維持管理料を毎年コンスタントに徴収することができます。そのため、資金調達のメドが立てやすく寺院の経営を助ける手立てにもなりつつあります。
参考文献:『宗教関連統計に関する資料集』平成27年3月|文化庁文化部宗務課
参考文献:厚生労働省 『衛生行政報告例』
参考文献:『平成27年度第6回インターネット都政モニター「東京都の霊園」アンケート結果』平成28年3月23日 |東京都生活文化局
今の首都圏に住む人々のお墓ニーズにこたえられるように進化してきた納骨堂。今後首都圏のお墓不足を解消する手立てとしてまずますその存在感は増していくことでしょう。皆さんも新しいお墓の選択肢としてひとつ、納骨堂を考えてみませんか?
納骨堂辞典では東京や関東の納骨堂の紹介をしています。みなさんのご要望にお応えして人気ランキングや費用、納骨堂の種類についてなども解説していますのでぜひご覧ください。納骨堂辞典|納骨堂・永代供養墓の全て
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