お墓はいらない?手元供養や自宅墓とは
俳優の三國連太郎さんが「戒名不要、墓不要」と言い残して亡くなったのは、2013年のことでした。「お墓はいらない」と考えている人が多くなっているといいます。お墓がなくても、「手元供養」や「自宅墓」という方法があります。解説しましょう。
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地元を離れて暮らす人が多くなるにつれ、なかなかお墓参りに行けないという悩みが増えてきています。その解決策の一つとして「分骨」が注目されています。ここではそんな分骨の意味や目的、分骨の手続きについて詳しく紹介します。
分骨とは、遺骨を二ヶ所以上の所に分けることです。分けた遺骨の行方は様々で、自宅近くの墓地・納骨堂に納骨する人もいれば、自宅に小さな仏壇を用意して分骨した遺骨を供養する人、ペンダントなどに遺骨や粉骨したものを入れ、手元供養を行う人もいます。
一説では、分骨をすると魂が分かれてしまって成仏できない・生まれ変わった時に五体不満足になるなど、縁起が悪いといった噂もあります。しかし、これは根拠のない迷信です。かの有名な文豪・森鴎外は東京都三鷹市の禅林寺に眠っていますが、その一部が分骨され、森鴎外の生地である島根県津和野町にある永明寺にもお墓があるそうです。
地元から遠く離れて暮らしている場合や墓地が不便な場所にある(交通アクセス、険しい坂道など)人は、年に1回もお墓参りができないことが多くあります。そんな人のために、遠くのお墓に入っている遺骨を分骨し、分骨した遺骨を自宅近くの墓地・納骨堂に納骨したり、自宅で手元供養をすることで、これまでよりも手厚い供養を行うことができます。
ちなみに手元供養とは仏壇ほどの装備ではないものの、遺影・お線香立て・お花立て・ロウソク立て・おりんを用意し自宅で供養することです。また、ブレスレットやペンダントに遺骨を少量入れ肌身離さず一緒に過ごすという方法も人気を集めています。
先祖代々から継承しているお墓は、一般的に長男が引き継ぐものとされています。つまり、長男以外の子どもは自分でお墓を建てたり、嫁ぎ先のお墓に入るため、両親とは一緒のお墓に入れないことが原則です。そのため、長男以外の子どもが両親と一緒にお墓に入りたいという希望や、子どもがそれぞれに建てたお墓で両親の遺骨もそれぞれ供養を行いたいといった希望がある場合、遺骨を分骨することができます。
生前に特定の宗派を深く信仰している場合、その宗派の総本山・大本山・本山に遺骨を分骨して納骨したいと希望する人もいます。また、地域によっては古くからの慣習として、分骨した遺骨を総本山に納骨することもあるようです。分骨して本山へ納骨することを本山分骨と言います。ちなみに、本山分骨のほとんどが合祀(ごうし)による納骨ですので、合祀後の遺骨の返還はできません。
散骨とは遺骨を粉状にして海や山に撒くことです。まさに自然に還ることができるというロマンが魅力で生前から散骨を希望する方もいます。しかし、残される家族としてはお参りがしにくい・跡形もなくいなくなってしまったという気持ちになるため、遺骨を分骨し、一部を手元供養用として残したうえで散骨をする人が多いようです。こうすることで散骨を希望する本人と、故人との繋がりを持ちたい家族の希望を叶えることができます。
分骨は基本的にいつでも行うことができます。しかし、手続きや費用の面から考えると火葬直後に分骨をすることがおすすめです。分骨の手続きを埋葬前と埋葬後によって少し異なります。
事前に葬儀会社へ分骨したい旨を伝えておきましょう。そうすると火葬後のお骨上げの時に分骨ができます。遺骨を入れる骨つぼはご自身で準備します。急なことですぐには準備しにくいかもしれませんが、骨壺はネット通販でも購入できます。サイズは卵くらいのものから手の平サイズの物まで、デザインも豊富です。落ち着いてからでも良いのでお気に入りの骨つぼを見つけ、故人を供養しましょう。
分骨後、自宅ではなく墓地や納骨堂に納骨する場合は「火葬証明書(分骨用)」が必要になります。火葬場での発行になりますので忘れずに必要枚数をもらいましょう。各自治体で異なりますが1枚数百円で発行してもらえるそうです。
納骨したところの管理者(お寺など)に分骨可能かを確認します。分骨可能であれば管理者より「分骨証明書」を発行してもらいましょう。次に管理者が提携している石材店や墓石を購入した石材店へ連絡をし、お墓のカロート(納骨棺)を出してもらい分骨します。その際に閉眼供養・開眼供養が必要になる場合もありますので事前に管理者へ確認しておきます。閉眼供養・開眼供養はお布施として1~3万円が必要です。分骨後、墓地や納骨堂に納骨する時はその管理者に分骨証明書を提出し納骨します。
ちなみに、分骨するの遺骨の部位に決まりはありません。一般的には喉仏を手元供養に分骨する方が多いです。
埋葬後に分骨する際、骨つぼの中から喉仏を見つける方法もあります(※火葬直後の際はお骨上げの担当者に聞けば教えてもらえます)。
まず、骨つぼの蓋を開け頭蓋骨を取り出します。取り出した後、上部中央にあるのが喉仏です。特徴は、①真ん中に丸い空洞があること②空洞の前後に丸い突起と平らな突起があること、です。なぜ喉仏を分骨する部位として扱われることが多いのかというと、その形が座禅をしている仏の姿と似ているからだそうです。
現代ではお墓の事情には家族や親族などに問題が複雑に絡んでおります。供養をしたいという切実な願いからの分骨は決して悪いことではないと考えます。家族としっかりと相談をしたうえで、分骨を行いましょう。
俳優の三國連太郎さんが「戒名不要、墓不要」と言い残して亡くなったのは、2013年のことでした。「お墓はいらない」と考えている人が多くなっているといいます。お墓がなくても、「手元供養」や「自宅墓」という方法があります。解説しましょう。
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