キリスト教の葬儀やお墓参りの仕方を知っている人はどれくらいいるでしょうか。もしかしたらご家族やご友人がキリスト教式の葬儀を行ったり、お墓を作られることがあるかもしれませんが、日本人の大多数が仏教系もしくは神道系を信仰しているため、なかなか馴染みの無い世界だと思います。ここでは、そんなキリスト教の基礎知識から葬儀やお墓について、またカトリックとプロテスタントの違いにも触れていきます。
キリスト教の基礎知識
日本で行われる葬儀のうち、キリスト教に則って執り行われるものは全体のうち約1%と言われています。仏教で行われる葬儀は何度も参列した経験はあっても、キリスト教についてはよく分からない点も多いはずです。そこで最初はキリスト教について簡単な基礎知識を説明していきます。
キリスト教の宗派|カトリックとプロテスタントとは
キリスト教には仏教や他の宗教と同じように、宗派があります。カトリックとプロテスタントもキリスト教の宗派の一種で、日本では主にこの2つが中心となっています。プロテスタントとは、16世紀の前半に行われた宗教改革によってカトリックから分かれた宗派の1つです。
カトリックとプロテスタントの違い
キリスト教の葬儀などに参列する際に、この2つの宗派により違いが出ます。葬儀に参加する際に知っておくと役に立つ違いを紹介します。
司祭(聖職者)の呼び方の違い- カトリック:神父と呼ぶ
- プロテスタント:牧師と呼ぶ
教会にある十字架の違い- カトリック:イエス・キリストが十字架に架けられている
- プロテスタント:十字架のみでイエス・キリストは架けられていない
信仰や教えの違い- カトリック:聖書と聖伝(伝統的な昔からの言い伝え)を信仰
- プロテスタント:聖書を信仰(必要なことはすべて聖書に在る)
胸の前で十字を切るか切らないかの違い。- カトリック:十字を切る
- プロテスタント:十字を切らない
他にも細かい違いはありますが、宗派の違いを把握しておくことで、キリスト教の葬儀に参加する際に役に立ちます。
参考文献:カトリックとプロテスタントの違い|カトリック春日部教会
キリスト教のお墓はどのようなもの?
キリスト教のお墓はどのような特徴があるのか、仏教のお墓と比較しながら違いを説明していきます。
墓地の違いについて
キリスト教の場合、原則芝生の墓地になります。また、お墓同士の仕切りのようなものも基本的にはありません。その一方で仏教の場合、土の墓地になり、お墓の周辺を外柵と呼ばれる壁のような仕切りを作ります。
墓石の違いについて
キリスト教の墓石は、洋画やニュースの映像で見たことがあるかもしれませんが、白い石でできた小さな墓石や十字架の墓石が芝生の上に整然と並んでいる、といったイメージです。仏教の墓石と比べると石の高さが低めで横長のものが多くなっており、オルガン型やプレート型と呼ばれるものがキリスト教の墓石の一般的な形です。特に墓石の形に決まりはありませんが、十字架が刻まれる、もしくはくり抜く、上部に十字架を乗せるなど、十字架がどこかに必ず入ります。また、故人の好きな言葉や聖歌(カトリック)、賛美歌(プロテスタント)なども刻まれます。
お墓の対象者の違いについて
仏教の場合には、1つのお墓に家族や家系が入る家族墓の考えがあります。一方、キリスト教の場合にはひとつのお墓に一人という考えが通常です。とはいえ、日本の場合にはスペースの問題などから、最近ではキリスト教でも家族で埋葬される家族墓も増えているそうです。
キリスト教の葬儀の流れ
キリスト教の葬儀は仏教の葬儀と進め方が異なります。ここでは、葬儀の流れについて、仏教との違いを交えながら説明していきます。
葬儀は教会で行われる
葬儀は当然ながら教会で行われますが、カトリックとプロテスタントでは葬儀の流れが変わります。カトリックでは葬儀と告別式が分けて行われ、プロテスタントでは葬儀と告別式を分けずに行います。どちらも司祭(カトリックは神父、プロテスタントは牧師)の進行の元進められます。仏教のように、お焼香という概念はありませんがその代わりに花を添える献花があります。
聖歌または賛美歌を斉唱
仏教の葬儀と大きく変わるのはこの点です。カトリックの場合には聖歌、プロテスタントの場合には賛美歌を葬儀中に斉唱します。歌詞の書かれた紙が配布されるため、それにあわせて斉唱すれば問題ありません。
服装について
仏教のように喪服または黒のダークスーツを着用すれば問題ありません。靴やバックの小物類も、黒にあわせるようにしましょう。
香典ではなく献花料
仏教の場合には香典を包みますが、キリスト教の場合にはお香は炊きませんので代わりに献花料を包みます。献花料は、故人の方との関係性により包む金額が異なります。献花料を渡す場合には、白い封筒に「御花料」と書き、フルネームも入れます。
キリスト教の納骨の仕方
キリスト教も仏教と同じくすぐには納骨を行いません。仏教の場合には、四十九日の法要が終わった後に納骨するのが一般的ですが、キリスト教の場合、カトリックでは、7日目に行われる追悼ミサの翌日かその1ヶ月後、プロテスタントでは、1ヶ月後の召天記念日に納骨を行うのが一般的です。それまでは、自宅または教会で遺骨を保管しておきます。お墓を購入しない場合には教会の納骨堂に遺骨を収めることとなりますが、納骨堂は基本一度費用を払えば、追加で費用を払う必要はありません。仏教でいう永代供養と同じイメージです。
キリスト教のお墓参りについて
キリスト教の場合、仏教のようにお彼岸やお盆など一斉にお墓参りする習慣はありません。また、三十三回忌や場合によって五十回忌のように、長期に渡って定期的にお墓参りや供養するような習慣もありません。なぜなら、死に対する考えが仏教と違い、仏教では故人が極楽浄土に行けるようにと長期に渡って祈る必要がありますが、キリスト教では「死=神から与えられた永遠の安息」と捉えられているためです。仏教のように必ずお墓参りをしないといけない期間などはありませんが、集まって故人の命日にお墓参りをしたり、死後数ヶ月から数年の間集会を行ったりするようです。
キリスト教ではあまりお墓参りを重視しない
カトリックの場合には、追悼ミサと呼ばれる集会を、死後3日目、7日目、30日目に行います。また、毎年11月2日の死者の日に合わせて、集会やお墓参りを行います。プロテスタントの場合には、死後1ヶ月後の昇天記念日に集会を行います。その後は、5~7年前後までを目安に毎年、または数年おきに集会やお墓参りを行います。
キリスト教のお墓参りの方法
キリスト教の場合、お線香を備える習慣はないため、墓石に焼香台はありません。また、お供物を置く習慣もありません。その代わり、白い花を墓石に添えるのが一般的です。花の種類は、白い小さな菊、白いカーネーション、白いユリが一般的ですので、仏教式の仏花は避けた方が良いでしょう。キリスト教では墓前の故人に向かって手を合わせることはせず、は、故人の代わりに神に感謝する祈り(合掌)を行います。服装は、地味なものであれば黒のスーツにこだわる必要はありません。
違いを知って葬儀の参加やお墓参りを
キリスト教と仏教の葬儀やお墓参りの仕方は大きく代わります。しかし、事前に違いを知り、常識的な対応を行えば、葬儀の参加やお墓参りで迷うことはありませんし、特別難しいこともありません。ただし、キリスト教の中でもカトリックとプロテスタントでは作法や考え方が違うので、失礼にならない対応や配慮を行いましょう。
参考文献:葬儀における宗教の割合 | エンディング・データバンク
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